イソトレチノインの効果はいつから?経過・作用機序・副作用の見分け方を解説

イソトレチノインの効果はいつから?経過・作用機序・副作用について医師に相談する様子

「イソトレチノインはニキビに効果があると聞いたけれど、いつから変化を感じられるの?」「服用中に乾燥や赤みが出たけれど、このまま続けて大丈夫?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

イソトレチノインは、皮脂分泌を抑えるだけでなく、毛穴の角化や炎症など、ニキビが生じる複数の要因に働きかける内服薬です

当院でも、早い方では服用開始から1週間ほどで皮脂の減少を感じることがありますが、新しいニキビができにくくなるまでには1〜3ヶ月程度かかる場合があります。効果の現れ方や必要な服用期間には個人差があります。

また、服用中は唇や肌の乾燥、赤みなどが現れることがあります。こうした症状を単純に「薬が効いている証拠」と考えるのではなく、薬の作用による変化と副作用を分けて考え、症状に応じて医師に相談することが大切です。

この記事では、イソトレチノインの効果が現れるまでの経過や作用機序、皮脂・テカリの変化、乾燥や赤みなどの副作用、治療終了後の再発まで、研究者として皮膚について研究してきた橋本院長の知見や実際の診療経験も交えながら詳しく解説します。

イソトレチノインによるニキビ治療を検討している方や、現在服用中で経過に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

イソトレチノインの効果が出るまでの期間

イソトレチノインの効果が出るまでの期間と皮脂・炎症・ニキビの変化

イソトレチノインの効果が現れるまでの期間には個人差がありますが、比較的早い段階から皮脂分泌の変化を感じることがあります

当院では、早い方では服用開始から1週間ほどで「テカリが減った」「皮脂が少なくなった」と感じることがあります。一方、新しいニキビができにくくなるまでには1〜3ヶ月程度かかる場合があります。

イソトレチノインを服用すると、最初に皮脂分泌が低下し、その後、炎症性ニキビが徐々に落ち着き、新しいニキビができる頻度が減っていくという経過をたどることがあります。ただし、服用開始から1週間ですべての方に目に見える変化が現れるわけではありません。

効果を確認するときは、「今あるニキビが一気になくなるか」だけを見るのではなく、皮脂やテカリが減ってきたか、炎症を起こすニキビが少なくなってきたか、新しいニキビができる間隔が長くなってきたか、といった変化を段階的に確認することが大切です。

期間主な変化実感しやすいサイン
服用開始〜数週間皮脂分泌の低下が始まるテカリが減る、肌や唇が乾燥しやすくなる
1〜3ヶ月炎症性ニキビが徐々に落ち着く新しいニキビができる頻度が減る
3〜6ヶ月以降ニキビができにくい状態を目指す炎症を繰り返す頻度が減る

なお、上記の期間はあくまで目安です。ニキビの重症度や体重、1日あたりの投与量、服用期間などによって、効果の現れ方は異なります。乾燥などの副作用の程度も人によって異なるため、自己判断で服用量を増減せず、医師の診察を受けながら治療を進めることが重要です

まずはご自身のニキビの状態を確認したい方は、肌診断機VISIAによる肌状態の確認も含め、当院へご相談ください。

イソトレチノインの経過|写真で記録するときのポイント

イソトレチノイン服用前・1ヶ月後・6ヶ月後の経過を写真で記録するイメージ

イソトレチノインの効果を確認するときは、服用前から定期的に写真を残しておくと、ニキビの数や赤み、肌全体の状態の変化を比較しやすくなります。毎日鏡を見ていると少しずつの変化には気づきにくいため、同じ条件で撮影した写真は治療経過を振り返るうえで役立ちます。

写真を記録する際は、服用開始前を基準にして、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後など一定の間隔で撮影するのがおすすめです。特に、正面だけでなく左右の頬やフェイスラインなど、ニキビができやすい部位も残しておくと変化を比較しやすくなります。

  • 服用開始前に撮影して基準となる写真を残す
  • 1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月など一定の間隔で撮影する
  • できるだけ同じ照明・場所・角度・距離で撮影する
  • 正面だけでなく左右の頬やフェイスラインも記録する
  • 肌加工や美肌補正などの機能は使用しない

また、写真だけでは確認しにくい変化もあります。たとえば、服用開始後に皮脂やテカリが減ってきても、炎症後の赤みや色素沈着が残っていると、写真ではそれほど変化していないように見えることがあります。

反対に、見た目の変化より先に「夕方になっても以前ほどベタつかなくなった」といった実感が現れる場合もあります。

そのため、写真による見た目の変化だけでなく、「新しいニキビができる頻度」「皮脂やテカリの変化」「乾燥の程度」などもあわせて記録しておくと、より経過を把握しやすくなります。

なお、写真だけを見て「自分は効いていない」「治りが遅い」と判断するのではなく、一つの参考情報として捉えることが大切です。治療経過に不安がある場合は、自己判断で服用量を変更したり中止したりせず、これまでの写真や症状の変化を医師に伝えて相談しましょう。

イソトレチノインがニキビに効く仕組み|作用機序を解説

イソトレチノインが皮脂分泌・毛穴の角化・炎症に作用する仕組み

イソトレチノインがニキビ治療に用いられる理由は、皮脂分泌だけでなく、毛穴の詰まりや炎症など、ニキビができる複数の要因に働きかけるためです

イソトレチノインはビタミンA誘導体の一種で、体内で細胞の働きに関わる遺伝子の発現を調節します。専門的には「転写調節」と呼ばれますが、簡単にいうと、細胞の設計図である遺伝情報を「どのように読み取り、どのように働かせるか」を調整する仕組みです。

研究者として皮膚について研究してきた橋本院長は、イソトレチノインを「細胞の形や機能を調節する薬」と捉えています。単に肌表面の皮脂を取り除くのではなく、皮脂を作る細胞を含めた皮膚の働きそのものに作用することが、イソトレチノインの特徴です。

作用機序①皮脂の分泌を抑える仕組み

ニキビができる大きな要因のひとつが、皮脂の過剰な分泌です。皮脂そのものは肌を守るために必要ですが、分泌量が多くなると毛穴の中にたまりやすくなり、毛穴詰まりやニキビにつながります。

イソトレチノインは、皮脂を作る皮脂腺(脂腺)に作用し、皮脂腺を縮小させることで皮脂の分泌量を低下させます。そのため、服用開始後に「顔のテカリが減った」「夕方になっても以前ほど脂っぽくならない」といった変化を感じることがあります。

皮脂が減ることで、毛穴の中に皮脂が過剰にたまりにくくなります。脂性肌や皮脂によるテカリが強い方にとっては、この変化が比較的早い段階で実感しやすいことがあります。

なお、大人になってから繰り返すニキビでは、皮脂だけでなく、ホルモンバランスやストレス、睡眠・食生活など複数の要因が関係することがあります。原因をより広い視点で整理したい方は、以下の記事も参考にしてください。

👉 大人ニキビの原因と対策を詳しく見る

作用機序②毛穴の角化を整える仕組み

ニキビは皮脂が多いだけでできるわけではありません。毛穴の出口付近に角質がたまると、皮脂の出口が狭くなり、毛穴が詰まりやすくなります

このような毛穴の詰まりから生じるのが、白ニキビや黒ニキビなどの「面皰(めんぽう)」です。面皰は、赤く腫れる炎症性ニキビになる前の段階でもあります。

イソトレチノインには、表皮角化細胞の分化を調整する作用があります。表皮のターンオーバーを促す一方で、角層への分化を抑えることで角質を薄くし、毛穴に角栓ができにくい状態へ整えていきます。

その結果、毛穴の詰まりを防ぎやすくなるだけでなく、毛穴が引き締まり、目立ちにくくなる効果も期待できます。皮脂分泌を減らす作用とあわせて、ニキビができにくい状態を目指します。

作用機序③免疫反応を整える仕組み

毛穴の中で詰まりが起こり、炎症反応が強くなると、赤く腫れたニキビや膿を伴うニキビへ進むことがあります。炎症を繰り返すほど、赤みや色素沈着、凹凸のあるニキビ跡が残るリスクも高くなります。

イソトレチノインには、免疫細胞の分化や免疫シグナルに働きかけ、炎症が悪化しないように免疫反応を整える作用があります。皮脂分泌や毛穴の詰まりに働きかけるだけでなく、こうした免疫反応を調整することで、赤く腫れるニキビが繰り返しできる状態の改善を目指します。

このように、イソトレチノインは「皮脂を減らす」「毛穴の詰まりを起こしにくくする」「炎症が悪化しないように免疫反応を整える」という複数の方向からニキビに作用します。ただし、効果の現れ方や適切な投与量は一人ひとり異なるため、ニキビの状態や副作用を確認しながら治療を進めることが重要です。

なお、ニキビと炎症の関係を考えるうえでは、治療薬の作用だけでなく、日々のスキンケアに取り入れられる成分について知っておくことも役立ちます。ビタミンCとニキビの炎症との関係については、以下の記事で詳しく解説しています。

👉 ビタミンCとニキビの炎症について詳しく見る

イソトレチノインによる脂腺縮小の仕組み

イソトレチノインによって脂腺が縮小し皮脂分泌が減少する仕組み

イソトレチノインは、皮脂を作る皮脂腺(脂腺)そのものに働きかけて脂腺を縮小させ、その結果として皮脂の分泌量を減少させます。

ニキビ治療では「皮脂を抑える薬」と説明されることが多いですが、肌表面の皮脂を一時的に取り除くのではなく、皮脂を作る組織そのものに働きかけることが大きな特徴です

ここでは、脂腺が縮小する仕組みと、テカリ・皮脂・脂性肌にどのような変化が現れるのかを解説します。

脂腺が縮小すると皮脂はどう変わる?

皮脂腺は、毛穴の周囲にある皮脂を作る組織です。皮脂には肌の水分蒸発を防ぎ、外部の刺激から皮膚を守る役割がありますが、皮脂腺の働きが活発になって皮脂が過剰に分泌されると、毛穴の中に皮脂がたまりやすくなり、ニキビができる要因になります。

イソトレチノインは、この脂腺に作用して脂腺そのものを縮小させ、皮脂を作る働きを低下させます。その結果として、皮脂の分泌量も減少します。

つまり、「皮脂の分泌を抑えること」と「脂腺を縮小させること」は別々の現象ではありません。イソトレチノインが脂腺という組織に働きかけることで、結果として皮脂の分泌量が低下すると考えるとわかりやすいでしょう

研究者として皮膚について研究してきた橋本院長も、イソトレチノインを単に「皮脂を減らす薬」としてではなく、脂腺という組織そのものに作用する薬として捉えています。

テカリ・皮脂・脂性肌はどう変わる?

イソトレチノインによって皮脂分泌量が低下すると、顔のテカリやベタつきが軽減することがあります。脂性肌で「時間が経つとすぐに顔が脂っぽくなる」「夕方になるとテカリが目立つ」と感じている方では、ニキビそのものの変化より先に、皮脂量の変化を実感する場合もあります

当院でも、早い方では服用開始から1週間ほどでテカリや脂っぽさの変化を感じるケースがあります。ただし、効果の現れ方には個人差があり、すべての方が同じ時期に変化を感じるわけではありません。

イソトレチノインによって皮脂分泌が減少すると、毛穴の中に皮脂がたまりにくくなり、毛穴詰まりを起こしにくい状態につながります

また、角化細胞の分化が調整されて毛穴周辺の角層が薄くなることで、角栓ができにくくなるとともに、毛穴が引き締まって目立ちにくくなることもあります。

ただし、毛穴の目立ちには皮脂や角栓だけでなく、ニキビ跡による凹凸や肌のたるみなど複数の原因が関係します。そのため、毛穴の原因によっては別の治療が必要になることがあります。

脂腺増殖症の治療に用いられることもある

イソトレチノインが脂腺そのものに作用することを理解するうえで参考になるのが「脂腺増殖症」です。脂腺増殖症とは、皮脂腺が増殖・腫大することで、額や頬などに黄白色〜肌色の小さな盛り上がりが現れる良性の皮膚病変です。

イソトレチノインは脂腺を縮小させる作用があるため、脂腺増殖症の治療選択肢として用いられる場合もあります。このことからも、イソトレチノインが肌表面の皮脂だけではなく、その皮脂を作る脂腺そのものに働きかける薬であることがわかります。

一方で、皮脂が減れば減るほど治療効果が高いというわけではありません。皮脂には皮膚を保護する働きもあるため、分泌量が大きく低下すると唇や肌の乾燥、つっぱり感、ヒリつきなどが現れやすくなります。

皮脂やテカリの変化だけでなく、乾燥などの症状も確認しながら治療を進めることが大切です。

イソトレチノインの適応|向いている人・服用に注意が必要な人

イソトレチノインが向いている人と服用に注意が必要な人を示すイメージ

イソトレチノインは、すべてのニキビに一律に使用する薬ではありません。ニキビの種類や重症度、これまで受けてきた治療、体重、既往歴、服用中の薬などを確認したうえで、医師が治療の適応を判断します。

特に、外用薬や抗菌薬などによる治療を続けても改善しにくいニキビや、炎症を繰り返してニキビ跡が残ることが心配される場合などに、治療の選択肢として検討されます。一方、妊娠中など服用できないケースもあり、体調や既往歴によって慎重な判断が必要になる場合もあります。

イソトレチノインが向いている人・適応となるケース

イソトレチノインが検討されることが多いのは、たとえば以下のような場合です。

  • 外用薬を続けても炎症性ニキビを繰り返している
  • 抗菌薬による治療でも十分な改善がみられなかった
  • 赤く腫れたニキビや膿を伴うニキビが多い
  • 顔だけでなく、背中や胸などにも広範囲にニキビがある
  • ニキビを繰り返し、ニキビ跡が残ることが心配される
  • これまで複数の治療を行っても再発を繰り返している

特に炎症の強いニキビを長期間繰り返している場合は、炎症後の赤みや色素沈着だけでなく、皮膚がへこんだクレーター状のニキビ跡につながることがあります。そのため、「もっと重症になってから治療を考える」のではなく、現在のニキビの状態やこれまでの治療歴を踏まえて、早めに治療方法を相談することも大切です

ただし、上記に当てはまるからといって、必ずイソトレチノインが適しているとは限りません。ニキビの状態やこれまでの治療経過などを総合的に確認したうえで、ほかの治療も含めて適した方法を検討します(参照:日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」)。

なお、背中にできるニキビは、皮脂や毛穴詰まりに加えて、汗や衣類による摩擦などの影響も受けやすく、顔のニキビとは異なる点にも注意が必要です。背中ニキビの原因や治療については、以下の記事で詳しく解説しています。

👉 背中ニキビの原因と治療を詳しく見る

イソトレチノインを服用できない人・慎重な判断が必要なケース

イソトレチノインには服用できないケースや、治療開始前に慎重な確認が必要となるケースがあります。

特に、妊娠中の方や妊娠している可能性がある方は服用できません。既往歴や体調、服用している薬などによっても、イソトレチノインによる治療が適しているか慎重に判断する必要があります。

さらに、直近に美容施術や手術、抜歯などを受けている場合は、その内容や時期によって治療開始を延期することがあります。

そのため診察では、現在治療中の病気やこれまでにかかった病気、服用している薬やサプリメントに加えて、最近受けた美容施術・手術・歯科治療などについても医師へ伝えてください。

これらの情報や体調を確認し、必要に応じて採血などを行ったうえで、治療を開始できる状態か判断します。

イソトレチノインの副作用や妊娠に関する具体的な注意点については、後ほど詳しく解説します。

未成年でもイソトレチノイン治療は受けられる?

強い炎症を伴うニキビを繰り返している場合は、将来的なニキビ跡をできるだけ残さないためにも、早めに適切な治療を始めることが大切です。ただし、イソトレチノインには副作用や服用上の重要な注意点があるため、未成年への使用については慎重な判断が必要です。

なお、当院では未成年の方へのイソトレチノインの処方は原則として行っていません。

ただし、ニキビの重症度やこれまでの治療経過などを踏まえ、例外的に処方を検討する場合があります。その場合は、保護者の同席をお願いするなど、本人と保護者の双方に治療内容や副作用、服用上の注意点をご説明したうえで、慎重に治療方針を判断します。

未成年の方でニキビ治療に悩んでいる場合は、最初からイソトレチノインによる治療を前提にする必要はありません。現在のニキビの状態やこれまで使用した薬などを確認したうえで、ほかの治療も含めて適した方法を検討します。

思春期・未成年のニキビ治療について幅広く知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

👉 未成年・思春期ニキビの治療選択肢を詳しく見る

イソトレチノインの主な副作用と注意点

イソトレチノインの主な副作用と乾燥・赤み・採血・妊娠・筋肉痛の注意点

イソトレチノインでは、唇や肌の乾燥、赤みやヒリつきのほか、肝機能値や血中脂質の変化、筋肉痛・関節痛などがみられることがあります。また、妊娠中の服用は胎児に重大な影響を及ぼすおそれがあるため、特に厳格な注意が必要です。

副作用の現れ方には個人差があるため、症状や必要に応じた採血結果を確認しながら治療を進めることが重要です。

乾燥はいつから?いつまで続く?

イソトレチノインによる乾燥は、比較的早い段階から現れやすい副作用です。乾燥が始まる時期には個人差がありますが、服用開始後の数日〜数週間ほどで、唇や肌の乾燥が気になり始めることがあります

これは、イソトレチノインによって皮脂分泌が低下するためです。皮脂はニキビができる要因のひとつになる一方、肌表面の水分蒸発を防ぎ、外部からの刺激から皮膚を守る役割もあります。皮脂が減ることで、唇のカサつきや皮むけ、肌のつっぱり感などが現れやすくなります。

服用中の乾燥を悪化させないためには、以下のようなケアを意識しましょう。

  • 保湿剤を使用し、肌の乾燥を防ぐ
  • リップクリームやワセリンなどで唇をこまめに保護する
  • スクラブやピーリングなど刺激の強いスキンケアを控える
  • 洗浄力の強い洗顔料や過度な洗顔を避ける
  • 日焼け止めなどで紫外線対策を行う

服用終了後は、皮脂分泌の回復に伴って乾燥も徐々に軽快していくことが一般的ですが、回復までの期間には個人差があります。また、乾燥が強いほどイソトレチノインがよく効いているというわけではありません。

保湿をしても強い乾燥が続く、唇が大きくひび割れる、皮膚炎などを伴う場合は、自己判断で我慢せず医師へ相談してください。

赤み・赤ら顔・肌荒れが起こる原因

イソトレチノイン服用中には、赤みやヒリつき、肌荒れがみられることがあります。皮脂の減少によって肌が乾燥し、皮膚のバリア機能が低下することで、外部からの刺激を受けやすくなることが主な原因のひとつです

そのため、これまで問題なく使用できていた化粧品や洗顔料でも刺激を感じたり、顔全体が赤く見えたりする場合があります。ただし、こうした赤みを「イソトレチノインが効いている証拠」と考えることはできません。

また、赤ら顔や肌荒れの原因が、すべてイソトレチノインによるものとは限りません。もともと酒さ(しゅさ)や脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患がある場合には、それらの症状が関係している可能性もあります。

症状・変化考えられる原因対応の目安
皮脂・テカリが減るイソトレチノインの作用通常は経過を確認する
唇・肌が乾燥する皮脂分泌低下による副作用保湿を行い、強い場合は医師に相談する
赤み・ヒリつきが出る乾燥・皮膚への刺激・バリア機能の低下など症状が続く、または悪化する場合は医師に相談する
湿疹や強い皮膚炎が出る副作用や別の皮膚疾患など早めに医師へ相談する

症状だけを見て「薬が効いている」「副作用だから服用をやめた方がよい」と自己判断することは避けましょう。赤みや肌荒れが続く場合や、痛み・強いヒリつき・湿疹などを伴う場合は、服用状況とあわせて医師へ相談してください。

肝機能・脂質の変化と採血の重要性

イソトレチノインを服用すると、肝機能を示す数値や中性脂肪などの血中脂質に変化がみられることがあります。こうした変化は自覚症状がほとんどないまま起こる場合もあるため、必要に応じた採血による確認が重要です。

当院では、イソトレチノインの効果だけを見るのではなく、体への影響を確認しながら治療を進めるために採血を行っています。肝機能や脂質などの数値に加えて、ニキビの改善状況や乾燥などの症状を確認しながら、投与量や治療期間を判断します。

採血を行う時期や頻度は、投与量や体調、既往歴などによって異なります。自覚症状がないから問題ないと自己判断せず、医師から案内された検査を受けながら治療を継続することが大切です。

妊娠中は服用できない|催奇形性と避妊の重要性

イソトレチノインには強い催奇形性があり、妊娠中に服用すると胎児に重大な先天異常を引き起こすおそれがあります。そのため、妊娠中の方や妊娠している可能性がある方は服用できません。

妊娠の可能性がある場合は、治療開始前だけでなく、服用中や服用終了後も適切な避妊が必要です。必要な避妊期間や具体的な注意事項については、使用する製剤や治療方針などによって確認が必要となるため、必ず医師の指示に従ってください。

また、服用中に妊娠の可能性が生じた場合は、自己判断で経過をみるのではなく、速やかに服用を中止して医師へ相談する必要があります。イソトレチノインによる治療を始める前に、妊娠に関する注意事項を十分に理解しておくことが重要です。

筋トレや激しい運動をしている方の注意点

イソトレチノイン服用中には、筋肉痛や関節痛などが現れることがあります。そのため、日常的に筋トレをしている方や、スポーツなどで強度の高い運動を行っている方は、治療前に普段の運動内容や頻度を医師へ伝えておくことが大切です。

運動そのものが一律に禁止されるわけではありませんが、服用開始後にこれまでとは異なる強い筋肉痛や関節の痛み、運動時の違和感などが現れた場合は、無理をして続けず医師へ相談してください。

当院では、普段の運動習慣や症状、必要に応じた採血結果なども確認しながら、投与量を検討する場合があります。特に高強度の筋力トレーニングを継続している方は、診察時にその内容や頻度を伝えて頂くと、治療中の体調変化を評価しやすくなります。

イソトレチノインは、ニキビへの効果だけでなく、副作用や体調の変化も確認しながら治療を進めることが大切です。気になる症状が現れた場合は、自己判断で投与量を変更したり服用を中止したりせず、医師へ相談しましょう。

イソトレチノインの効果はどのくらい続く?再発との関係

イソトレチノインの治療期間と累積投与量を踏まえた効果の持続と再発の考え方

イソトレチノインによる治療を終了した後も、ニキビができにくい状態が続く方は多くいます。

一方で、一度治療すれば永久にニキビができなくなるわけではなく、治療終了後に再発することもあります。再発にはニキビの状態や体質、年齢などさまざまな要因が関係しますが、そのひとつとして重要なのが、治療期間を通して服用した「累積投与量」です。

累積投与量とは、治療期間中に服用したイソトレチノインの総量を体重あたりで示したものです。同じ20mgを服用していても、体重50kgの方と70kgの方では体重あたりの投与量が異なるため、1日あたりの服用量だけでなく、治療期間を含めた総投与量を確認することが重要になります。

累積投与量は120mg/kg前後がひとつの目安とされており、当院でも再発リスクを考慮し、基本的には120mg/kgを目標として治療を進めています。

一方で、累積投与量を増やせば増やすほどよいというわけではありません。ニキビの改善状況に加えて、乾燥などの副作用や採血結果も確認しながら、一人ひとりに適した1日あたりの投与量を調整し、目標となる累積投与量まで治療を続けることが大切です。

実際に、他院でイソトレチノイン治療を受けた後にニキビが再発し、当院へご相談に来られた方の中には、治療期間が短いなどの理由で十分な累積投与量に達していなかったケースがみられます

こうしたケースもあるため、見た目が改善してきたからといって自己判断で早期に服用を中止するのではなく、治療を終了するタイミングについても医師と相談してください。

なお、治療終了後にニキビが再発した場合も、「イソトレチノインが効かなかった」とは限りません。再発したニキビの程度や部位、治療終了からの期間などを確認したうえで、外用薬などによる治療や、必要に応じてイソトレチノインによる追加治療を検討する場合があります。

イソトレチノインの効果を長く維持するためには、短期間での変化だけを追うのではなく、ニキビの改善状況と副作用の両方を確認しながら、適切なタイミングまで治療を続けることが重要です。

イソトレチノインの効果が出にくいと感じる原因

イソトレチノインの効果が出にくい原因となる治療期間・用量・累積投与量・皮膚疾患

イソトレチノインを服用していても、「思ったよりニキビが減らない」「SNSで見た人より改善が遅い」と感じることがあります。

ただし、効果の現れ方には個人差があり、服用を始めて間もない段階では、まだ十分に効果を判断できない場合もあります。服用期間や投与量、体重、ニキビの重症度などを含めて経過を見ることが重要です

イソトレチノインの効果が出にくいと感じる場合には、主に次のような理由が考えられます。

  • 服用を始めてからの期間がまだ短い
  • 1日あたりの投与量が少ない
  • 累積投与量が十分に達していない
  • ニキビの重症度や体質によって改善までに時間がかかっている
  • ニキビ以外の皮膚疾患が混在している

イソトレチノインでは、早い段階から皮脂の減少を感じることがあっても、新しいニキビができにくくなるまでには1〜3ヶ月程度かかる場合があります。そのため、服用開始後すぐに目立った改善がないからといって、「自分には効果がない」と判断するのは早いことがあります。

一方で、赤みやブツブツが続いている場合、それがすべてニキビとは限りません。酒さや脂漏性皮膚炎、毛嚢炎(もうのうえん)など、ニキビと見た目が似ている皮膚疾患が混在していることもあります。この場合は、イソトレチノインの投与量だけを調整しても改善につながらない可能性があるため、症状を改めて診断することが必要です。

知恵袋やSNS、個人ブログなどでは、「1ヶ月でかなり改善した」「半年飲んでもあまり変わらなかった」といったさまざまな体験談が見つかります。しかし、そこには体重や1日あたりの投与量、累積投与量、治療前の重症度などが記載されていないことも少なくありません。条件が異なるため、他の方の経過をそのまま自分に当てはめないようにしましょう

イソトレチノインの効果が十分に感じられない場合は、自己判断で服用量を増やしたり中止したりするのではなく、ニキビの変化を医師と確認することが大切です。現在の状態を評価したうえで、投与量や治療期間を調整するのか、別の治療を組み合わせるのかを検討します。

なお、現在のニキビの状態を整理するうえでは、ニキビの種類や症状によって、どのような治療方法が選ばれるのかを知っておくことも役立ちます。

👉 ニキビの種類・症状別の治療方法を詳しく見る

イソトレチノインの費用の目安

イソトレチノイン10mg・20mgと一般採血の費用の目安

イソトレチノインによるニキビ治療は自由診療のため、健康保険は適用されません。

当院では、10mgと20mgのイソトレチノイン(アクネトレント)を取り扱っており、投与量や服用期間はニキビの状態や体重、治療経過、副作用などを確認しながら判断します。そのため、治療全体にかかる費用には個人差があります。

項目内容費用(税込)
イソトレチノイン10mg(アクネトレント)30日分7,700円
イソトレチノイン20mg(アクネトレント)30日分11,000円
一般採血肝機能や脂質など副作用の確認5,500円

たとえば20mgを30日間服用する場合、薬剤費は11,000円(税込)です。これに、必要に応じて採血費用が加わります。ただし、同じ20mgを服用する場合でも、体重やニキビの状態によって必要な治療期間は異なるため、「1ヶ月分の料金×一律の治療月数」で総額を決めることはできません。

また、イソトレチノインでは1日あたりの投与量だけでなく、治療期間を通して服用した累積投与量も治療計画を考えるうえで重要です。費用だけを理由に自己判断で投与量を減らしたり、ニキビが改善した段階ですぐに服用を中止したりせず、医師と治療期間を相談しましょう。

自由診療・未承認医薬品について

イソトレチノインによるニキビ治療は自由診療です。また、日本国内ではニキビ治療を目的とした医薬品として承認されていません。

一方、海外ではイソトレチノインは重症ニキビの治療に使用されており、たとえば米国では、ほかのニキビ治療で十分な改善が得られない重症の結節性ニキビに対する処方薬として承認されています。ただし、強い催奇形性があるため、妊娠に関しては厳格な安全管理が行われています。

当院では、海外から輸入したイソトレチノイン製剤「アクネトレント」を使用しています。未承認医薬品は、日本国内で承認された医薬品と同じ手続きによって品質・有効性・安全性が確認されたものではありません。そのため、治療によって期待できる効果だけでなく、副作用や注意事項についてもご説明したうえで、診察や採血によって体調や副作用を確認しながら治療を行います。

イソトレチノインの投与量や治療期間、費用について詳しく知りたい方は、現在のニキビの状態やこれまでの治療歴なども含めて診察時にご相談ください。

イソトレチノインに関するよくある質問

イソトレチノインの効果や副作用についてよくある疑問を持つ女性のイメージ

イソトレチノインについては、「本当に効果が高いのか」「毛穴や色素沈着にも効くのか」など、治療前に気になる点が多くあります。ここでは、イソトレチノインの効果や施術との併用について、よくある質問に回答します。

イソトレチノインはすごい薬と聞きますが、本当ですか?

イソトレチノインは、皮脂分泌を抑えるだけでなく、毛穴の角化や炎症など、ニキビが生じる複数の要因に作用する薬です。そのため、外用薬や抗菌薬などで十分な改善がみられなかったニキビでも、治療の選択肢になることがあります。

一方で、「すごい薬だから誰にでもおすすめできる」というわけではありません。唇や肌の乾燥、肝機能値や血中脂質の変化などの副作用があり、特に妊娠中は服用できません。

ニキビの状態や体調などを確認し、適応を判断したうえで使用することが重要です。

イソトレチノインの効果は毛穴にもありますか?

イソトレチノインには皮脂分泌を減らす作用に加えて、表皮角化細胞の分化を調整する作用があります。毛穴周辺の角層が薄くなって角栓ができにくくなることで、毛穴が引き締まり、以前より目立ちにくくなることがあります。

また、皮脂分泌が減ることで毛穴の中に皮脂がたまりにくくなるため、皮脂や角栓によって毛穴が目立っている場合には変化を感じやすいことがあります。

一方、毛穴の目立ちにはニキビ跡による凹凸や肌のたるみなども関係します。このような場合には、イソトレチノインだけでは十分な改善が得られないこともあり、原因に応じてレーザーやその他の美容施術などを検討します。以下の記事も参考にしてください。

👉 毛穴のタイプ別の原因と改善方法を詳しく見る

イソトレチノインの効果が知恵袋やブログの体験談で大きく違うのはなぜですか?

イソトレチノインの効果が現れる時期や程度は、ニキビの重症度、体重、1日あたりの投与量、服用期間、累積投与量などによって異なります。そのため、知恵袋やブログ、SNSなどで紹介されている経過に大きな違いがあっても不思議ではありません。

特に個人の体験談では、具体的な体重や投与量、治療前のニキビの状態などが分からないこともあります。「自分より早く改善しているから効果がない」「同じ期間飲めば同じようになる」と考えるのではなく、参考情報のひとつとして捉えることが大切です。

イソトレチノイン服用中にレーザーやフェイシャル施術は受けられますか?

イソトレチノインを服用しているからといって、すべてのレーザー治療や美容施術が一律に受けられないわけではありません。

ただし、施術の種類や出力、肌の乾燥・赤み・炎症などの状態によっては、施術を控えたり内容を変更したりする必要があります。特に、皮膚への負担が大きい施術については慎重な判断が必要です。

イソトレチノインを服用している場合は、レーザーやフェイシャル施術を受ける前に必ずその旨を医師へ伝え、肌の状態を確認したうえで施術の可否を判断してもらいましょう。

イソトレチノインの効果でシミや色素沈着も改善しますか?

イソトレチノインは、シミや色素沈着そのものを主な治療対象とする薬ではありません。ただし、表皮のターンオーバーを促す作用があるため、ピーリングと同じように、皮膚に蓄積したメラニン色素の排出を促す効果が限定的ながら期待できます。

また、ニキビができにくい状態になることで、新たな炎症後色素沈着が生じる機会を減らせる可能性もあります。

一方で、すでに残っている色素沈着やシミを十分に改善できるとは限りません。ニキビ治療後も茶色い色素沈着やシミが気になる場合は、状態に応じて別の治療を検討します。

なお、シミにはいくつかの種類があり、老人性色素斑や肝斑など、種類によって適した治療方法も異なります。それぞれの特徴や治療の違いについて知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

👉 シミの種類と治療方法を詳しく見る

まとめ|イソトレチノインの効果を正しく理解して相談を

イソトレチノインの効果や注意点を正しく理解して医師に相談するイメージ

イソトレチノインは、皮脂分泌を抑えるだけでなく、毛穴の角化や炎症など、ニキビが生じる複数の要因に作用する内服薬です。さらに、皮脂を作る脂腺そのものを縮小させる作用もあり、繰り返すニキビや、ほかの治療で十分な改善がみられなかった場合などに治療の選択肢となります。

効果の現れ方には個人差がありますが、当院では早い方では服用開始から1週間ほどで皮脂やテカリの減少を感じることがあります。一方、新しいニキビができにくくなるまでには1〜3ヶ月程度かかる場合もあるため、短期間の変化だけで「効いている・効いていない」と判断しないことが大切です。

また、服用中には唇や肌の乾燥、赤み、肝機能値や血中脂質の変化などがみられることがあります。乾燥や赤みが強いほど効果が高いというわけではないため、こうした症状を「効いている証拠」と自己判断せず、必要に応じて医師に相談しましょう。

治療終了後の再発には、ニキビの状態や体質、服用期間、累積投与量など複数の要因が関係します。見た目が改善してきたからといって自己判断で服用を中止するのではなく、副作用や採血結果も確認しながら、一人ひとりに合った投与量と治療期間を検討することが重要です。

イソトレチノインによる治療を検討するときは、期待できる効果だけでなく、副作用や服用期間、必要な検査、費用なども含めて理解したうえで判断しましょう。

橋本院長

現在の肌状態を適切に確認し、そのうえで治療方法を選択することが大切です。
イソトレチノインが自分に適しているのか分からない場合も、治療方法を決めてから受診する必要はありません。
気になる症状やこれまでの治療経過について、まずはお気軽にご相談ください。

皮膚科研究医として20年以上の経験を持つ研究医。遺伝性光線過敏症と早老症を専門とし、フランス国立研究所での研究を経て、名古屋大学特任准教授を歴任。2025年に名駅なぎクリニックを開業。日本皮膚科学会、日本再生医療学会、日本人類遺伝学会所属。科学的根拠に基づく個別治療とエイジングケアを提供している。


【業績抜粋】
Dysregulation of LXR responsive genes contribute to ichthyosis in trichothiodystrophy
S Hashimoto, H Takanari, E Compe, JM Egly, Journal of Dermatological Science 97 (3), 201-207
遺伝性皮膚疾患の一種である魚鱗癬の分子メカニズムを解明した論文です。

Assessment of skin inflammation using near-infrared Raman spectroscopy combined with artificial intelligence analysis in an animal model
Y Kanemura, M Kanazawa, S Hashimoto, et.al., Analyst 147 (12), 2843-2850
皮膚の炎症をレーザー照射後の散乱光解析で評価する技術開発の論文です。

MED23 mutation links intellectual disability to dysregulation of immediate early gene expression
S Hashimoto, S Boissel, M Zarhrate, M Rio, et.al, Science 333 (6046), 1161-1163
新規遺伝性疾患の発見とその分子メカニズムを解明した論文です。

他多数

目次